小説/1章/013_初夜
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「ナ、ナプティリス様が、その、可愛くて。今からこんな人とできるんだと思うと、その――」
 
そこまで言いかけたところで、フィオはものすごい力でベッドに押し倒されてしまう。
 
「うわ、……んぐっ!?」
 
ナプティリスは無言のままフィオの上に覆いかぶさるように乗ると、両手で頭を固定して、強引に唇を奪った。
 
「……んちゅる、ずじゅ……。はぁはぁ、……これが、男の唾の味……♡」
 
「ナプティリス……様……」
 
――興奮と女の子の匂いで頭がくらくらする。すでにガチガチだったペニスがより一層硬度を増すのがわかる。
 
ナプティリスはエメラルド色の綺麗な瞳――情欲で染まりきった瞳でフィオを見つめていた。
 
ナプティリスのまとう空気が明らかに変化したのを感じた。
 
「キミが悪いんだからね」
 
 
突然だが女と男のあれこれの話をする。
 
男は魔力が少ないうえに発露も下手くそな人が多く、見た目の筋肉はどうあれ、身体的に弱い人が多い。
一方で女は魔力が多く、発露も比較的得意な人が多い。
 
そのためどうしてもいざケンカや争いとなれば女が勝つ。全員とは言わないが大男を一瞬で血祭りにあげることができる女児がいたるところにありふれているのだ。
 
インドアな男が多いのもこのためである。力仕事は大体女性の仕事のため外に出る必要があまりないし、下手に外を歩いて誘拐でもされそうになったところで抵抗は不可能だ。外に出るときは猛獣達にあまり目を付けられないようにさっさと目的を済ませて帰宅するのが良い男の規範ともなる。
 
しかしこれは女達からすればそれもまたちょっと誤解だ。彼女らからすれば別に女は猛獣じゃない。見た目が完全に好みの超絶イケメンが隙だらけで歩いてたって見境なく襲ったりなどしない。――声くらいはかけるかもしれないが――。普通に人としての倫理観は持ってるし、その男が自分よりももっと強い女の持ち物という場合もある。
 
というか普通に嫌われるのが怖い。
 
人口比率は女5人に対して男が1人。黙ってればこっちが余るし、かといって強引に手を出そうもんなら男内のコミュニティで悪評が拡散されて、その後の恋愛が絶望的になるコースなどザラにあり得る。それに『我こそ男を守る騎士なり』といった他の女からも率先して攻撃され始める。
 
そして別に、世の男性は遺伝子レベルですべからく女性が嫌いなのではない。遺伝子レベルで刻まれているのは女は怖いということだけだ。男性も普通に女性を好きになるし、普通に性欲も沸く。かなり薄いが。
 
なので、一般的な女性はほぼ全員が一度は必ずこう思う。
 
『正当に恋愛がしたい』
 
別に変な方法をとらなくても男は振り向いてくれる。男に乱暴せずに、高望みもしなければいずれ自分にあった男が見つかる、そういう人の1人や2人いるもんだ、いつかそういう男を獲得してやるんだ――、と。そのためには極力変なことはせず、男性から好かれる女性として過ごそう、と。
 
庶民ならそれでいいのだ。恋愛結婚を目指すならこれが正解だ。以上、女と男の話。
 
「はぁ~、トルトレイアくん、さいっこう……♡」
 
そしてここに邪道に堕ちた女が一人。
 
ぱんっぱんっぱんっぱんっ――
 
新年早々、娼館で、年端もいかない好みの男の子を半ば強引に買って淫蕩にふける。男の子の履物とパンツを豪快に破き、ベッドに抑えつけ、無理やり唇を奪い、相手のことなど気にせず、無言で交尾を始めて、全体重で腰を振る。
 
店の主人による反対も、実家と姉をチラつかせて黙らせるという見事な役満だ。
 
ナプティリスは現在、極度の興奮により痛みなど感じていない様子だ。なんならシチュエーションに酔っているだけで、セックスで快感を得ているのかは疑問であった。
 
「あっ、あっ、気持ちいい、気持ちいいですっ……、ナプティリス様」
 
そしてこの状況を加速させてしまう要因がこちらにも。フィオはというと、自分の上で腰を振っている暴走女に恐れを抱くどころか、その状況にさらに陰茎を太く固く熱く滾らせ、女の本気のストロークをその股間でしっかりと受け止めていた。
 
「おぅっふ……、んっ、んっ、ねぇ、トルトレイア?……あなた、こんなに乱暴されておいて、なんでどんどんおチンポを固くしているのかしら?」
 
「うっ、ごめんなさい、ナプティリス様の膣内なかが、その、気持ちよすぎて……あの、自分でも抑えられなくて、ごめんなさいっ……」
 
「~~~っ♡」
 
さっきからこの調子である。
 
(ま、大丈夫そうか)
 
お嬢様のあまりの暴走っぷりに最初は止めに入りかけたヴィオラであったが、フィオを分析してのぞき杞憂とわかってからは落ち着いてその様子を――、いや内心穏やかではく2匹の珍獣を見る目でその行為を見ていた。
 
(それにしても、すごい……)
 
リパシア精霊公国の大公家の第三公女であるナプティリスは今の年齢の段階で、すでに近くの大人の女戦士を威圧させるだけの魔力圧を垂れ流している。自分から意識して消さなければいけないほどだ。今のナプティリスに相手を殺すつもりがないとは言え、普通の男なら近づくだけで命の危険を感じざるを得ない。ましてや暴走中のナプティリスを相手に興奮できる男がいるということはヴィオラに少なからず戦慄を覚えさせた。
 
(さすがはサレオリア様おすすめの店、だな。デビュー前の娼夫ですらこのレベル……)
 
と、そこまで考えてかぶりを振る。
 
(いや、先ほどの若い娼夫はナプティリス様を前にして震えていた。ローズもサレオリア様によって多少は慣れ"させられ"ているとはいえ、ナプティリス様の圧に対して身構えている様子だった……。特殊なのはこちらの男の子の方か……)
 
あらためて、目の前でナプティリスの豪快な腰振りを一心に受け止めながら自身も楽しんでいるフィオを見て、戦慄と感嘆を覚えるヴィオラであった。
 
(あと、ナプティリス様……野良犬でももうちょっと上品に交尾しますよ……)
 
 
恥を忍んで勃起を告白したら、ナプティリスがこちらに襲い掛かってきた。
 
フィオが制止する間もなく、フィオの童貞とナプティリスの処女はナプティリスの豪快な腰の一振りによって対消滅したのである。始まる前にあれだけ気にしていた様子の風情もムードも何もなかった。
 
そんなナプティリスは現在進行形でフィオの腰の上にまたがり、高速でチンコを出し入れしている。
 
「トルトレイアっ、ほらッ、ベロを出せ♡ キスするわよ!」
 
「はいっ、ナプティリス様、んっ、じゅ、じゅちゅ……」
 
ベロキスの間もナプティリスの高速腰振りが止まることはない。
 
舌が絡まるたびにナプティリスの愛液があふれ重みが増し、白く泡立ち、粘度が高まる。
接着剤のようにまとわりつく白い粘液を剝がしてはお互いの性器に塗り込むように、1匹が腰を振り1人がそれを受け止めていた。
 
およそ処女と童貞のセックスではない光景を繰り広げる二人は、従者の目も気にせずお互いの体に夢中で、ベロキスの間に時折挟まる大きな喘ぎ声とベッドをきしませる音は、消音魔術がなければ周囲から異常事態だと思われてしまう状況であっただろう。
 
(ああ……)
 
突如始まったこの獣のような交尾だが、フィオの心に嫌な感情は一切なかった。
 
まず、ナプティリス自体がかわいい。体つきもエッチで。時折放たれる魔力圧も、キレたときの母やアルマから漏れる魔力圧並みでむしろ心地いい。(ちなみに母とアルマの魔力圧の方は、キレていることも合わさってかなり怖い)
 
そしてそれ以上に、"必死に愛されている"という実感が、フィオをたまらなく幸福な気持ちにさせていた。
 
フィオの体を必死に求めてくれるナプティリスを、尊く、いとおしく感じる。
 
最初に履物とパンツを破かれたのには驚きこそしたが、ナプティリスが自分を害するつもりがないのはセックスの前の態度からもわかっているし、圧に含まれる魔力の感じでもわかる。高速腰振りの勢いで全力の腰をこちらの腰にガンガンぶつけてきていないのもその証拠だ。ナプティリスがそのつもりならすでにフィオはもう潰れていただろう。
 
処女だったためか余裕こそなくなっているが、それでもこちらを傷つけないようにしてくれている――、フィオにとって他人からこんな愛され方をするのは初めての経験だった。
 
母や父、アルマは、いうなれば家族だ。運命を共にしてきた家族にとってお互いを思いやるのは、フィオにとっては当然のことであったし、教会のブラザーやフィオを引き止めて働き場所を与えてくれたローズにも、多大な感謝こそすれ、それは友愛だった。
 
もちろん、フィオが友愛を下にみることも、馬鹿にすることもない。
 
しかし、これらの愛を感じるたびに、"相手から施しを受けるだけ"としかなれない自分を意識した時、手放しで喜べない自分がいたのだ。『相手はこんなに良くしてくれるのに、それに比べて自分は……』という劣等感を抱き、勝手に傷ついていたのだ。
 
はじめこそ、ナプティリスは娼夫としてまだ働いてもいないフィオを娼婦として認めて快く買ってくれて、緊張しないようにおしゃべりをしてくれて……、と。ローズやソレルから感じる愛情と同じ、施しに似た友愛を感じていたが。
 
「トルトレイアッ♡、トルトレイアッ♡」
 
『相手と自分が愛情を交換し合っている』という感覚は、アルマとフィオがお互いに向けていた兄妹愛とはまた別のもので。
 
ナプティリスが愛液をまき散らせばフィオは我慢汁を吐き出して応える。フィオが陰茎を熱く固くギンギンに滾らせればナプティリスは膣内の形を変えて迎えギュムギュムとフィオを包み込む。行為に激しさが増せば増すほど、フィオの脳内は幸福で満たされていった。
 
精子達はすでに準備万端で、目の前の女の子宮に突撃するのを今か今かと待ち望んでいる。
 
そしてフィオに限界がおとずれた。
 
「ナプ、ティリス、様っ、あっ、あっ……、も、もう、でそうです♡」
 
「――だして、だして、おっ♡ わたし、もう、イッてるから♡」
 
その言葉がフィオの臨界点を超えさせた。
 
「でますっ♡、んんッ!!!」
 
今まで所在なさげにしていた手でナプティリスの腰のくびれに掴みがっちりとホールド、落ちてくるナプティリスの腰にあわせて自分も腰を突き出し、全力で陰茎を最奥へと突き刺す。
 
根元までホカホカに温められた陰茎は激しい脈動とともに、ドロッドロにねばついた精液を吐き出し始めた。
 
そして30秒ほどのちに、吐き出せるものをすべて吐き出したフィオの陰茎から、脊髄を通り脳へとミッションコンプリートの信号が上がってきたことで、フィオは全身を弛緩させた。